野生のクルミは小さく実が少ないので食べるものではないのですが、男の子にとっては手のひらの中で二つのクルミをこすり合わせて音を鳴らすのがカッコいいとされていました。長い間使っているとクルミが黒光りしてきてさらに渋さを増します。
しかし、野生のクルミは田舎であってもなかなか見つけられるものではありません。そのためさらに山の奥から一時間以上かけて歩いて通学してくる友達から分けてもらうしかありませんでした。一度その子の知っている唯一のクルミの木まで連れて行ってもらったことがありました。山道さえない山中に草木をかき分けながら進んで行ったその先に忽然と姿を現した瞬間を今でも鮮明に覚えています。
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