今でもよく思い出すのは子供の頃の情景です。
春、動きを止めていた銀世界が一斉に動き出す情景。凍った雪の下から丸く顔を出すふきのとう、ツララから太陽の光を含みながら次々に滴り落ちる水滴、見上げると山々を優しく包む春霞。
夏、川底の石の下に潜む小魚を握りネコヤナギの枝に刺しながら上流へと進んだ情景。水中メガネをヨモギの葉で洗いながら踏み入る清流の冷たさ、水中の音のない世界、水中から顔を上げた途端飛び込んでくるセミの大合唱、川のせせらぎ、キラキラと光る水面、照りつける太陽。
秋、山中を何時間も探検した情景。落ち葉を蹴散らしながら歩く険しい山道、突然目の前に現れる美しく色づいた木々、アケビを発見したときの興奮、夕暮れに追い立てられる帰り道。
冬、鎌で竹スキーを作り山中に分け入りスキーに興じた情景。冬山の静けさ、冷たく澄んだ空気、ギュッギュッと雪を踏みしめる音、太陽に照らされ眩しく輝く新雪。
季節ごとに何度も繰り返したたわむれ。遠い昔のはずなのに今でも鮮明に覚えています。
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